生涯教育Q&A

【生涯教育制度について】

Q1 生涯教育研修会になって何が変わったか?

A1 基本的な考え方が大きく変わりました。今まで行ってきた生涯学習から生涯職能開発 (CPD:continuous professional development)の考え方を取り入れ、到達目標(コンピテンシー) を決め、継続した自己研鑚を評価することで、キャリアを支援できる制度に変わりました。自己 評価を行い、自分に必要なスキルの研修を受講することとなります。また、生涯学習記録票は 廃止し、自己研鑚(OJT)の記録としてキャリアノートを作成することとしました。また、栄養ケア プロセス(栄養診断)、職業倫理、「栄養の指導」といった新しい考え方が加わりました。

Q2 これまでの生涯学習とは何か違うのか?

A2 これまで(平成 25 年以前)に実施してきた生涯学習は、その場で学習する座学中心でし た。これからは自らが積極的に取り組み、専門性を維持向上する為の研修で、「生涯専門性を 維持するために必要な、継続した専門能力開発」です。所定の研修を受講し、PDCA サイクル による自己研鑚の記録(キャリアシート)、学会発表、レポート・実践活動実績等の条件を満た し、認定試験に合格すると分野別の認定を行います。これにより質の担保を図ります。常に新 しい知識・技術を修得して、スキルの向上を図る努力をすることは専門職の要件ですが、これ を証明する制度です。したがって 5 年毎の更新が必要です。この制度によって認定された管理 栄養士・栄養士が、多職種や国民に認められるには、会員一人一人が認定にふさわしい力を つける必要があり、その達成のために基本研修と各分野の実務研修に分け、各々に研修項目 を設けました。

Q3 生涯教育の目的は何か?

A3 最新の知識・技術を習得し、管理栄養士・栄養士としての資質の維持・向上を図り、専門 性をさらに高めるために生涯教育制度を構築しました。大きく、基幹教育と拡充教育に分け、 基幹教育は、初心者から中堅者までを対象とした義務教育的アプローチで、管理栄養士・栄養 士のミニマムスタンダードを身に付けるための「卒後教育」として位置づけています。管理栄養 士・栄養士として、種々の栄養専門領域において、最低必要とされる知識・技術を修得し熟練 した中堅実務者、すなわち「対象者の状況にかかわらず『栄養の指導』ができる人材」の養成 を目指します。

Q4 管理栄養士・栄養士は、どのような知識と技術が必要で、どのような社会的役割を果たす ものかの将来像を示してほしい。

A4 各職域のコンピテンシー(到達目標)を検討して、提示しています。これらをもとに、講義や 実習内容を研修に取り入れています。各職域、管理栄養士・栄養士に共通して必要な最低限 の知識・技術をミニマムスタンダードとして基本研修をしています。基本研修の整備により、管 理栄養士・栄養士の業務の標準化を図ることになります。さらに、各職域に特化した知識や技 術を実務研修として、職域ごとに整理しました。これらの知識と技術を「知っている」から「でき る」管理栄養士・栄養士になって、「栄養の指導」を通して国民の間に管理栄養士・栄養士は社 会にとって有用な専門職であることの認知を一層高めていくことが大切です。

Q5高齢であり、専門職として先が短いが、システムに加わらずに、独自に研修を受けたいが 参加できるか?

A5 もちろん年齢制限はありません。参加は自由です。従来生涯学習で実施していましたが、 修了証を発行して継続した研修を行っていることを証明する制度もあります。

Q6この制度は50歳以上の管理栄養士には魅力的ではありません。これは、若手世代(54歳 以下)を想定した生涯学習システムとなるのか?

A6 全ての管理栄養士・栄養士が、職業倫理や栄養ケアプロセスといった新しい考え方を修得 し、キャリアを積んでいただきたいと考えています。また、平成 28 年度まで移行措置期間があ ります。今までの生涯学習単位が移行できるので、これまでの単位を整理されて新しい生涯教 育の必須単位を取得し、「○○認定管理栄養士・○○認定栄養士」として活躍していただける ことを期待しています。熟練したスキルをお持ちの方には、今までの経験を生かしリーダーとな っていただきたいと考えています。

Q7 「認定管理栄養士・栄養士」は社会に認められる制度になるのか?

7 認められる制度にするには、人材の育成が必務と考えます。認定管理栄養士、認定栄養 士の活躍が社会に認められることで、それは可能となります。 養成施設卒業後5~7年間で、保健、医療、福祉、健康増進などの各専門領域の業務が、対 象者の状態にかかわらず単独で「栄養指導」が行えるレベルを「認定管理栄養士・認定栄養 士」として、質を担保しようと考えています。ちなみに、現在多くの専門職が、CPD(継続的職能 開発)に基づいた類似の「認定制度」を創設していますが、認定にあたっては自身の研鑽が一 番のポイントになっています。なお、日本栄養士会としては、この制度について、ホームページ や日本栄養士会雑誌、多職種との会談等機会を通じて PR します。

Q8 認定はどのようなメリットがあるか?

A8 現在のところ、給料が上がるというようなメリットは聞いておりません。各自で国民からの 評価を受けられるよう、メリットをつくる努力をしてください。よく「研修しても、賃金などに反映さ れない」という声を聞きますが、それは逆です。自分のスキル・実績が上がらなければ賃金に は反映されません。自身に投資してください。医療や福祉分野のみでなく、現在、あらゆる領域 で管理栄養士・栄養士への期待は高まっています。そのような社会的背景を鑑み、日本栄養 士会としての管理栄養士・栄養士の質の担保と考えています。これが、社会で活躍する管理栄 養士・栄養士のステイタスとなることを願っています。


【キャリアノートについて】

Q9 日本栄養士会では、キャリアノートを印刷して配布しないのか?

A9 日本栄養士会でキャリアノートを印刷して配布する予定はありません。日本栄養士会のホ ームページからダウンロードできます。

【受講記録について】
Q10 各会員は自分の受講記録をどのように管理するのか?

A10 各自でメモを残す等、記録管理ノートを作っていただき、各自で管理をお願いします。

【他団体等の研修会について】

Q11 他団体の研修は 5 単位が上限となっているが、1 年単位か、60 単位中か?また、単位を 認める他団体の規模に決まりはあるか?

A11 1サイクル(60 単位)中、上限 5 単位(実務研修)です。ただし、臨床栄養分野は上限 10 単位です。他団体に決まりはありません。研修内容によって、都道府県栄養士会で判断しま す。

Q12 他団体の研修は、年間何単位まで評価できるか?また、各都道府県栄養士会で認めた 他団体の主催の研修の振替認定の単位はどうなるか?今後、振替認定の基準はどのように 考えるか?

A12 平成 25 年度までの生涯学習で取得された振替認定単位(都道府県栄養士会が認めた 研修)は、できるだけ読み替えます。生涯学習での振替認定は、他団体、例えば医師会や薬剤 師会などが主催した研修について、各都道府県栄養士会が事前に講義内容を確認して、基幹 教育のいずれかの研修項目に相当すると判断された時は単位を認定します。単位を認定する 研修の実施回数に制限はありません。ただし、個人の振替を認める単位数は、60 単位のうち5 単位(臨床栄養 10 単位)までです。

【自己研鑽について】

Q13 キャリアノート内に記載してある、学会とはどんな学会をさしているのか?

A13 当面は、学会という名称がついているものすべて(地方会など)を考えています。※ただ し、医療事業部の食事療法学会は研修会の扱いです。

Q14 自己研鑽による単位については、平成 26 年度から 28 年度までの移行期間中の 3 年間 に取得したものか、あるいは過去 5 年間に取得したものか?

A14 自己研鑽による単位は、過去 5 年間です。ただし、移行期間中の場合は、別に定めてい るとおり、平成 21 年度以降(岩手県栄、宮城県栄、福島県栄は、平成 20 年度以降)の単位を 認めます。キャリアシート(年間 5 年シート)は平成 26 年度以降の記録とします。

【実務研修について】

Q15 基幹教育 60 単位の中、実務研修は 30 単位だが、臨床分野から地域栄養に移動した場 合はやはり 40 単位必要か?

A15 どの分野で認定を申請するかによって、実務研修の単位の修得数が変わります。また、 職域が変わった場合、管理栄養士・栄養士としての実務経験5年間の中に、認定を希望されて いる領域での実務経験が 3 年以上あることを原則として考えています。これを踏まえ、認定を 受ける領域を考えてください。この場合、必要単位は、臨床は 40 単位、それ以外の分野は 30 単位になります。更新時に、認定を希望する領域の更新に必要な研修の単位を取得して申請 してください。

Q16 実務研修は、どの領域の方が、どの分野を受講してもよいのか?(各専門研究会の方 は、各職域の実務研修を受講するのか?)

A16 実務研修では、受けなくてはいけない科目はないので、自分に必要だと考えられる科目 を選択して、自由に受講していただけます。どの職域の方でも、どの分野の研修でも受講は可
能です。単位は、どれを受けても、講義 90 分 1 単位、演習 180 分 1 単位となります。ただし、 認定管理栄養士・栄養士の認定審査の申請には、認定分野の実務研修の必要単位数(30 単 位(臨床分野は 40 単位)以上)を取得する必要があります。

【単位の振替について】

Q17 今までの受講した講義を、基本研修ならびに実務研修のどの研修項目に当てはめるか を考えた場合、どこにも当てはまらない単位は認められないのか?

A17 基本研修の必須以外の単位として認められます。

Q18 生涯学習におけるホワイトの修了証がある場合、来年度以降の修了証はブロンズでよ いのか?

A18 認定管理栄養士・認定栄養士を希望されない修了証明書をとりたい方は、引き続き60単 位取得して申請すると、ブロンズが取得できます。ただし、平成 26 年度以降はじめて、修了証 を申請する場合は、必ず必須 20 単位の取得が必要です。

Q19 生涯教育修了証の有効期限が切れた場合、またホワイトからスタートか?

A19 修了証の有効期限がきれると、修了証は失効しますが、再度1サイクル(60単位)を終了 した場合、次のサイクルの修了証が発行となります。

Q20 単位の振替はどのように行うのか?

A20 平成 25 年度までに取得した単位は、基本研修の必須以外の単位へ振替可能となりま す。例えば、平成 25 年度までに 45 単位を持っている方は、平成 26 年度以降も 45 単位となり ます。ただし、基本研修の必須項目 20 単位については、新たに取得していただく必要があります。

【認定申請の手続きについて】

Q21 これまで修得した「生涯学習」の研修実績(単位)はどうなるのか?1 年目の者から 5 年 目の者、あるいはそれ以上の者もいる。単位の移行方法を明確にしてほしい。また、過去の単 位はどこまで遡って認定してもらえるのか?

A21 可能な限りの移行を考えています。移行期間中(平成 28 年度の認定試験まで)は、平成 21年以降(震災県は平成20年度)の生涯学習単位が振替できます。それ以後は、過去5年分 の単位について認定します。

Q22 生涯学習単位移行について、教えてください。

A22 平成21年度~平成25年度までの生涯学習を受講し、取得した単位は生涯教育に移行します。但し「認定管理栄養士・認定栄養士」認定審査申請手続きへの移行処置期間は、平成28年度までで、認定審査は平成29年8月ごろ行なう予定です。ご注意ください。